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遺言で不動産が特定できない場合はどうするのか

  • 文責:代表 弁護士 西尾有司
  • 最終更新日:2023年2月14日

1 遺言で不動産が特定されていない場合

遺言は、多くの場合、自筆証書遺言か公正証書遺言により作成されます。

自筆証書遺言については、専門家等の関与なしに作成されることがあり、記載に問題があることも少なくありません。

このうち、特に問題となりやすいのは、名義変更の対象となる財産が特定されていないという点です。

不動産については、土地でしたら所在、地番によって、建物でしたら所在、家屋番号によって特定されます。

裏返せば、これらの記載が欠けていると、名義変更の対象となる不動産が特定できず、登記申請ができないという問題が発生します。

たとえば、「先祖代々の土地は●●に相続させる」という記載では、第三者である法務局が見て、どの不動産が名義変更の対象になるかが判断できません。

このように、自筆証書遺言について、不動産が所在、地番等で特定されておらず、名義変更の対象になる不動産が特定できないという問題は、しばしば発生します。

このように、遺言で不動産が特定されていない場合には、どのように対処することになるのでしょうか。

2 相続人全員の協力を得ることができる場合

どの不動産が名義変更の対象になるかについて、相続人全員に争いがない場合には、以下の対処が考えられます。

まず、「遺言に記載されている不動産は、所在四日市市●●町●●、地番●●の土地である。この点について、相続人間で争いが存在しない。」といった事項を記載した申述書を作成し、相続人全員が実印を押印し、相続人全員の印鑑証明書を添付すれば、相続人全員で特定した不動産について、遺言による名義変更が認められる可能性があります。

この場合は、印鑑証明書は、すべて3か月以内に発行されたものである必要があります。

また、不動産を取得するのが相続人の1人である場合には、端的にその相続人がある不動産を取得するとの遺産分割協議書を作成すれば良いでしょう。

この場合も、相続人全員が遺産分割協議書に実印を押印し、相続人全員の印鑑証明書を添付することとなります。

この場合は、基本的には、印鑑証明書の有効期限は存在しません。

いずれの手段も、相続人全員の協力が必要であり、1人でも協力を得られない相続人がいると、手続を進めることができなくなってしまいます。

3 相続人全員の協力を得ることができない場合①

この場合は、他の手段により、不動産の特定を試みることが考えられます。

認められる可能性があるのは、名寄帳を用いて特定する方法です。

名寄帳には、特定の市町村において所有している不動産が一覧の形式で記載されています。

たとえば、「四日市市の土地すべて●●に相続させる」という記載でしたら、名寄帳を提出することで、名義変更の対象となる不動産を特定することが可能です。

4 相続人全員の協力を得ることができない場合②

他の手段によっても名義変更の対象となる不動産を特定できない場合は、遺言の解釈の問題になります。

この点について争いがある場合は、遺言に基づいて不動産を取得したとの前提に基づき、裁判所で不動産の所有権移転登記手続請求訴訟により、解決を図る必要があることもあります。

5 このような問題を避けるために

このように、遺言で不動産の特定が不十分である場合には、裁判等により解決を図らなければならなくなる可能性があります。

こうした事態を避けるためには、専門家の関与のもと、遺言を作成することをおすすめします。

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