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相続人になるのは誰か

  • 文責:代表 弁護士 西尾有司
  • 最終更新日:2023年12月7日

1 相続人について

遺言が残されていない場合、被相続人の親族が財産を相続することになります。

民法は、この場合に財産を相続できる親族の範囲を定めており、このような親族のことを相続人といいます。

相続人には、配偶者相続人と血族相続人があります。

以下では、それぞれについて説明したいと思います。

2 配偶者相続人

配偶者相続人とは、被相続人の配偶者、言いかえれば、夫から見た妻、妻から見た夫のことです。

配偶者とは、法律上の配偶者のことであり、内縁の配偶者は相続人にはなりません。

逆に、法律上の婚姻をしていれば、婚姻期間の長短に関わらず、相続人となります。

配偶者相続人は、血族相続人と並んで常に相続人となります。

これは、婚姻中の財産形成への配偶者の協力を、相続に際してきちんと評価するためと、被相続人死亡後の配偶者の生活を保障するためです。

3 血族相続人

⑴ 血族相続人とは

直系卑属(子や孫など)、直系尊属(父や母など)、兄弟姉妹が、血族相続人となります。

血族相続人には順位があり、上の順位の者が相続するときは、下の順位の者は相続できないことになっています。

第1順位が直系卑属、第2順位が直系尊属、第3順位が兄弟姉妹です。

例えば、被相続人の子が相続を受けることができるときには、たとえ被相続人に父母がいても、兄弟姉妹があっても、父母や兄弟姉妹は相続をすることができないことになります。

⑵ 直系卑属

ア 子が生存している場合

まず、被相続人の子が相続することができます。

相続人となる子には、実子のほかに、養子縁組の届出をすることで養子となった者も含まれます。

このため、普通養子の場合には、実父母だけでなく、養父母からも相続を受けることができます。

他方、特別養子の場合は、実父母との親子関係が終了するため、養父母のみから相続を受けることができます。

また、正式な婚姻関係がない男女間の子(非嫡出子)も、生前父親から認知を受けていれば、相続人となる子として相続を受けることができます。

被相続人である父親が認知せずに死亡した場合は、検察官を相手方として認知の訴えを提起する必要があります。

イ 子が死亡している場合

被相続人の子が死亡している場合であっても、その子、つまり被相続人の孫がいるならば、孫が子に代わって相続することができます。

これを代襲相続といいます。

孫が代襲相続する場合、孫は子の代わりに相続することになるため、子と同じ第1順位の相続人になります。

したがって、孫が代襲相続できるときは、第2順位の直系尊属は相続を受けることができません。

なお、子が死亡した場合だけではなく、子が相続欠格である場合、廃除を受けている場合も、代襲相続が生じます。

代襲相続人になるはずであった孫もすでに亡くなっていた場合は、その子、つまり被相続人のひ孫が相続人となります。

これを再代襲相続といいます。

少し注意をしなければならないのは、代襲相続、再代襲相続を受けることができるのは、被相続人の孫やひ孫が、被相続人の直系卑属である場合に限られるということです。

このことは、被相続人の養子に子がいる場合に問題となります。

養子縁組後に子が産まれた場合は、産まれた子は被相続人の直系卑属となりますから、代襲相続を受けることができます。

他方、養子縁組前に子がすでに産まれていた場合(いわゆる連れ子)、すでに産まれていた子は被相続人の直系卑属にならないため、代襲相続を受けることができません。

⑶ 直系尊属

被相続の子が相続することができず、孫らも代襲相続することができない場合、被相続人の父母が相続人となります。

被相続人の父母がともになくなっている場合は、被相続人の祖父母が相続人となります。

⑷ 兄弟姉妹

ア 兄弟姉妹が生存している場合

直系尊属も相続することができない場合は、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。

相続人となる兄弟姉妹には、被相続人と父母の一方のみが同じである兄弟姉妹も含まれます。

イ 兄弟姉妹が死亡している場合

兄弟姉妹もすでに死亡している場合は、兄弟姉妹の子、つまり被相続人の甥や姪が代襲相続することになります。

代襲相続人になるはずであった甥や姪もすでに亡くなっていた場合は、直系卑属の場合とは異なり、甥や姪の子が再代襲相続することはできません。

甥や姪の子にまで再代襲相続を認めると、ほとんど顔を知らない人にまで相続権を認めることになりかねないからです。

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