高齢者消除された相続人がいる場合について
1 高齢者消除
相続人の調査を行うため、戸籍を取得すると、相続人になるはずの人について、「高齢につき死亡と認定」との記載がなされていることがあります。
このような記載がなされるのは、高齢者消除がされた場合です。
高齢者消除とはどのような制度なのか、以下でご説明いたします。
100歳以上のかなりの高齢者については、実際には亡くなっているにもかかわらず、誰も死亡届を提出しないため、戸籍上は生存したままになっていることがあります。
このような戸籍をそのままにしておくと、誰も死亡届を提出しないでしょうから、その人は、戸籍上は生存し続けることとなってしまいかねません。
このような不合理な事態を避けるためには、市町村の判断で、戸籍事務処理上、その人を亡くなったものと扱う制度を設ける必要があります。
そこで、ある人が100歳以上であり、生存しているかどうかが不明である場合には、市町村長は、法務局長の許可を得て、その人を戸籍から消除することができるとされています。
このような制度を高齢者消除といいます。
2 高齢者消除の注意点
相続人調査の過程で高齢者消除の記載が見当たった場合には、注意しなければならないことがあります。
高齢者消除は、あくまでも、戸籍の事務処理上、その人が亡くなったという扱いがされているに過ぎず、相続との関係では、その人は、亡くなったものと扱われるわけではありません。
このため、相続人との関係では、その人が存命であるとの前提で、手続きを進める必要があります。
その人が相続人の1人である場合には、その人の実印、印鑑証明書を得なければ、相続の手続きを進めることはできません。
とはいえ、高齢者消除がなされた人について、連絡をとり、協議を行い、実印、印鑑証明書を得て手続きを進めることは、現実的にはほぼ不可能です。
このため、高齢者消除がなされた人については、不在者財産管理人を選任し、不在者財産管理人を当事者として手続きを行うより他ないでしょう。
参考リンク:裁判所・不在者財産管理人選任
また、高齢者消除がなされてから7年以上が経過している場合には、7年以上生死不明の状態にあると言い得ることから、改めて失踪宣告を得て、その人が相続との関係でも亡くなっているとの扱いにすることも考えられます。
参考リンク:裁判所・失踪宣告
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