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相続での寄与分の計算方法

  • 文責:代表 弁護士 西尾有司
  • 最終更新日:2024年1月16日

1 寄与分の計算方法(具体例)

寄与分がある場合の相続分の金額の計算方法は、まず相続財産の価額から寄与分額を引いて、みなし相続財産額を算出します。

次に、算出した金額に各自の法定(指定)相続分を乗じて、寄与分が認められる相続人に寄与分額を足します。

具体例を用いてご説明いたします。

・ 相続人は子A、子B、子Cである。

・ 相続財産は3000万円である。

・ 子Aに600万円の寄与分が認められる。

① 相続財産の価額-寄与分額=みなし相続財産額

3000万円-600万円=2400万円

② みなし相続財産額×各自の法定(指定)相続分+寄与分額=具体的相続分額

子A

2400万円×1/3+600万円=1400万円

子B

2400万円×1/3=800万円

子C

2400万円×1/3=800万円

なお、民法上、被相続人が遺贈も行った場合には、寄与分は、相続財産から遺贈の額を控除した残額を超えることができないとされています。

寄与分について、詳しくは「相続で寄与分が認められる場合」をご覧ください。

2 遺留分との関係

寄与分と遺留分の関係について、どのような点が争点になり得るのか、具体例を用いてご説明いたします。

・ 相続人は子A、子B、子Cである。

・ 相続財産は3000万円である。

・ 子Aに1800万円の寄与分が認められる。

・ 被相続人には債務が存在しない。

① 相続財産の価額-寄与分額=みなし相続財産額

3000万円-1800万円=1200万円

② みなし相続財産額×各自の法定(指定)相続分+寄与分額=具体的相続分額

子A

1200万円×1/3+1800万円=2200万円

子B

1200万円×1/3=400万円

子C

1200万円×1/3=400万円

この場合、子B、子Cの遺留分は、相続財産3000万円について、それぞれ1/6、つまりそれぞれ500万円となります。

子Bと子Cが取得する財産は400万円であり、遺留分に100万円及びません。

このような場合に、子Bと子Cが100万円の限度で遺留分減殺請求権を行使できるのではないかということが、争われています。

この点については、遺留分を重視して寄与分を算定すべきであるとした裁判例があります。

他方、少数説ですが、民法が寄与分の上限についての定めを置いていないことなどを理由に、遺留分の額に食い込む寄与分も認められるとする見解もあります。

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