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事業承継で注意すること

  • 文責:代表 弁護士 西尾有司
  • 最終更新日:2024年1月17日

1 事業承継の難しさ

ご自身が事業をされている場合、ご自身が亡くなられたあと、事業をどのように引き継いでいくのかが重大な問題になることがあります。

事業承継がうまくいかないと、最悪の場合、次の世代で事業を廃業にせざるを得なくなることもあります。

事業を続けていくためにも、どのようにして事業承継を行うのかは、早めに検討した方がよい課題になります。

ここでは、事業承継の注意点について、説明したいと思います。

2 事業に関係する資産を後継者に確実に引き継ぐこと

事業承継では、事業に関係する資産を後継者に確実に引き継ぐ必要があり、そのためには、あらかじめ遺言を作成しておくのが適切でしょう。

このような話をすると、事業に関係する資産として、何を引き継がなければならないのかと、疑問に思われる方もいらっしゃいます。

事業に関係する資産について、以下でご説明いたします。

⑴ 会社の株式

遺言がない状態で相続が発生すると、会社の株式については、相続人が共有している状態になります。

共有している株式については、共有者の多数決で権利行使をする人を定めなければ、議決権を行使することができません。

このため、株式の過半数の持分をコントロールできなければ、相続する株式のすべてについて意図するとおりに議決権を行使することができず、会社の経営が停止することとなってしまいかねません。

この点を踏まえると、株式を確実に引き継ぐことがいかに重要であるかが分かります。

⑵ 事業で使用している不動産

遺言がない状態で相続が発生すると、不動産についても、相続人が相続分にしたがって共有している状態になります。

不動産を取得するためには、遺産分割の手続を踏む必要がありますが、他の相続人が権利を主張すると、相応の代償金を支払わなければ、不動産を取得できないおそれがあります。

十分な金銭がなければ、相応の代償金を支払うことができず、不動産を単独取得することができないおそれも生じてきます。

そして、不動産を単独取得できなければ、他の相続人が、不動産の利用について口出しをする法的地位を有することとなり、事業経営上の支障が生じるおそれがあります。

⑶ 会社に対する貸付金

会社代表者が会社に対して、多額の貸付金を有していることがあります。

遺言がない状態で相続が発生すると、貸付金については、相続人が相続分に基づいて引き継ぐこととなります。

このため、貸付金を引き継いだ相続人が、会社に対し、突然、貸付金の返済を求めてくるおそれもあります。

会社に貸付金を返済する資力がない場合には、会社経営が立ち行かなくなる事態も生じかねません。

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事業継承のご相談

なぜ事業継承の準備をするべきか

経営者の方の中には、「まだ元気だから」と後継者選びや事業継承のことはまだ考えていらっしゃらない方も多いと思います。

しかし、後継者を選んでから実際に事業継承を行うまでには、後継者の育成や事業の引継ぎなどを行う必要があるため、思っている以上の時間がかかります。

何も準備をせずに経営者が亡くなった場合、自社株や事業用資産が後継者ではない相続人にも散らばって、最悪、経営自体が傾いてしまう場合もあります。

そのような事態を防ぐため、事業継続計画の観点からも、事業継承についてはお早めにお考えいただき、しっかりと計画を立てて準備を進めていただければと思います。

遺言は事業継承の準備の一つ

事業継承を円滑に行うための準備の一つとして、遺言が考えられます。

しかし、遺言の書き方や内容が不適切だった場合には、法的に無効になってしまいます。

そうすると、せっかく遺言を残しても、事業継承が円滑にできなくなってしまう可能性があります。

それを防ぐためには、法律の専門家である弁護士に相談して作成することをおすすめします。

その他の準備・対策

事業継承で後継者に受け継ぎたい資産が、経営者が持つ遺産の大部分だった場合は、法律上、相続人が最低限取得できる遺産分の請求を、他の相続人から受ける可能性があります。

その場合は、遺留分への対策も必要となってきます。

対策としては、株式・不動産などの相続財産の評価額を調査して遺留分がどれだけあるのかを把握し、請求を受けた際に支払えるよう金銭を積み立てておくことなどが考えられます。

当法人へのご相談・ご依頼

このように、事業継承を円滑に進めるためには、法律や税金など、様々な専門知識が必要となってきます。

ご相談の際は、法律の専門家である弁護士や、税金の専門家である税理士など、内容に合わせて複数の分野の専門家からアドバイスをもらうことをおすすめします。

当法人では、弁護士・税理士などが連携して業務にあたっているため、事業継承を含む相続問題について幅広くご対応しております。

節税対策などについてもご相談ください。

当事務所は、近鉄四日市駅から徒歩1分と、お越しいただきやすい場所にございます。

四日市周辺で事業継承をお考えの方は、当事務所までお気軽にご相談ください。

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